ライバル対談

お客さま×アプリラボ

対談日:2018年5月

2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ。それに合わせて軽減税率が導入される計画で、影響が及ぶ小売店や飲食店などで対策が進む。こうした中、スムーズに税制の変化などに対応できるとあって注目を集めているのがPOSレジだ。昨今、クラウドと連携したタブレット型が登場し、予約や仕入れなどのサービスと連携できたり、リアルタイムで売上分析ができたりと、その利便性が高まっており、もはや飲食店経営に欠かせないツールの一つと言って過言ではない。今後、POSレジと飲食店の関係性はどのようになっていくのだろうか。今回、株式会社APPLILAB・代表取締役の菅野壮紀氏と株式会社ユビレジ・代表取締役の木戸啓太氏にPOSレジと飲食店を取り巻く現状と未来について語ってもらった。

便利さが引き起こす業界を取り巻く課題

木戸啓太氏

菅野壮紀氏(以下:菅野)現在、POSレジ業界には多くのプレイヤーがいます。木戸さんは、現在の業界について率直にどう感じていますか?

木戸啓太氏(以下:木戸)2010年にiPadがリリースされてすぐ、世界初のiPad POSレジとしてユビレジをリリースしました。しばらくして、13年ごろからでしょうか、数多の企業がPOSレジに参入してきましたよね。飲食業界のクライアントがいないIT企業も突然POSレジを作り出したりして。あの頃に比べると、現在は淘汰が進んでいるのではないでしょうか。

菅野確かに、当時、東京ビッグサイトなどで行われた飲食関連のフェアにはたくさんのIT企業が出展していて、POSレジの展示も今以上に多くありました。ただ「飲食店に売り出したい」という思いだけが先行していて、実際の現場では使いづらいような仕組みも数多く見受けられたのを覚えています。

木戸そうですね、最近では個性が際立っているものや、飲食業界の発展を考えて提供されているサービスも多くなりました。数あるサービスの中から、いかに自店にあったものを選ぶか。業界全体がそうした段階に入ってきたと考えています。

菅野実を言うと、私も理解を深めるフェーズに入ったと感じています。今後、POSレジの導入にあたっては、いかにサービスのコンセプトに共感してもらうかが重要になるのではないでしょうか。例えば、夫婦二人で経営されている個人店ならPOSレジは必要ないかもしれません。むしろオーバースペックになる可能性が高いでしょう。
しかし多店舗展開を考えているのなら、できるだけ早く自社に合うシステムの導入を検討するべきです。POSレジを活用すれば、会計・経理業務が簡略化できたり、複数店舗のデータを一元管理できたり、不正を防止できたりと、多店舗展開する上でのメリットがたくさんありますから。ただし多くのことを可能にできるからこそ、どのようなサービスを使って、何が実現したいのか。その視点からPOSレジを選ぶことが欠かせません。

木戸ええ、同感です。POSレジはモノではなくサービスなので、どのようなサポートを実現してくれるのかを理解していることは重要ですね。最近では予約管理や決済システムといった外部サービスとの連携もスムーズにできるので、より便利になってきています。どのようにしてサービスの理解を深めてもらうかは、業界全体の今後の課題かもしれません。

両社のサービスが切り開く新しい飲食シーンとは

菅野壮紀氏

木戸せっかくの機会なので聞いてみたいのですが、アプリラボさんでは普段どのような営業活動を行っているのですか。

菅野「めっちゃすごいパートナーになる」というビジョンを掲げて営業活動を行っています。もともとうちが提供しているK1くんは、07年の誕生以来、最前線の現場で働く店舗スタッフの声を拾い上げながらサービスを拡充してきました。その結果、当初は勤怠とFL管理のサービスだけだった機能もシフト管理や給与計算、そしてPOSレジと段階的に増えてきたという経緯があります。
しかし逆に言うと、現場の声をサービスに反映させているからこそ、まだまだシステムとして完成していません。社会や経済環境の変化によって、現場からの要望も変わってくるでしょうから。そうしたリアルな声を拾い続けるためにも、常に一緒に成長をしていける「めっちゃすごいパートナー」になりたいと考えているのです。できる限りクライアントの店舗には顔を出したりして、良好な関係性を築いています。

木戸なるほど、菅野さんのFaccebookの投稿がほぼ酒場の様子であふれているのは、そうした理由があったのですね(笑)。

菅野あれは半分趣味です(笑)。ただ極端な話をいうと「今から一緒に飲める?」という連絡でもかまいません。それくらい気軽にコミュニケーションを取れる関係を築ければ、サービスのいいところも悪いところも包み隠さず伝えてくれるでしょうから。
ユビレジさんは、世界初のiPad POSレジとして名を馳せています。どのようなポイントに注力をして開発を行ってきたのですか。

木戸ユビレジがサービスとして目指しているのは、誰もが簡単に使いこなせるシステムを実現させるということです。iPad自体がユニバーサルデザインで設計されていますから。そうした利点を活かして、ユーザビリティやアクセシビリティが高いサービスにしたいと考えています。
私自身、その重要性に気が付いた出来事があります。それが愛知県に本店を置く焼肉店、ソウルカルビ様の事例です。ユビレジの導入前、同店では、注文は手書き、会計はレジに一品ずつ注文内容を打っていました。しかし、当社のタブレット型POSレジとハンディ端末を導入したことで、注文を通す際の厨房との往復がなくなり、会計時の時間も短縮。あまった時間をお客様へのサービスに充てた結果、もう一品注文が取れるようになり、客単価にして1000円アップを実現したとのことでした。誰もが簡単に使いこなせるサービスだと、スムーズなコミュニケーションが実現し、店舗の成長に貢献できる。そう身をもって感じることができたのは大きかったですね。最近、株式会社きちり様など大型チェーンにも対応できるようになって、サービスの可能性は広がっているのではないでしょうか。
もちろんK1くんの存在にも刺激を受けています。有名店で導入されているケースも多いですよね。

菅野ありがとうございます。現在、K1くんを導入している企業様の中には、株式会社ファイブグループやダンダダン酒場を運営している株式会社NATTY SWANKY様などいらっしゃいます。両社とも今のように大規模な展開をする前から導入してもらっているので、一緒に私たちも成長をしてきたと自負しています。

木戸深刻な人手不足に悩まされている飲食業界だからこそ、POSレジの導入が経営に与えるインパクトは大きいと思います。業界が目の当たりにしている課題を解決しながら、一緒に次のステージを目指していきたいですね。

菅野はい、POSレジを通して、ともに飲食業界を盛り上げていけたらうれしいです。