お客様対談

お客さま×アプリラボ

対談テーマ

~海外進出について~

登場人物は…!!

型無株式会社
矢野 潤一郎(代表取締役)
株式会社アプリラボ
菅野 壮紀(代表取締役)

対談店舗

シンガポール Katanashi
(77 Boat Quay, シンガポール 049865)

対談日:2017年10月

おもてなしの実現を支えるシステム

【左】矢野代表

菅野矢野さんが率いる型無株式会社は「雇用の革命」と「おもてなしの輸出」をビジョンとして掲げています。シンガポールへの進出も、その実現に向けた取り組みの一環ですか?

矢野ええ、そうです。僕が海外に進出したのは、今から5年ほど前です。当時、東南アジア諸国には、飲食業界の地位が低いという現状がありました。日本の飲食人として、その課題を解決できないだろうかと思って、まずはシンガポールへの進出を決意します。うちで働く経験を通して、飲食で働くプライドを感じてもらいたい。そして、給与面も含めて、飲食業が楽しいということを伝えたい。それを実現するのが自分の使命だと感じています。

菅野そもそも「おもてなし」って日本独特の文化なんでしょうか?

矢野独特ですね。海外では、サービスは“チップ”という対価で成り立っています。しかし、日本では、飲食店はもちろん、一流旅館やホテルでもチップはありません。すべてのサービスを、おもてなしとしてやっています。世界的な価値観に照らし合わせると、ありえないことです。シンガポールでは、会計時に「100ドル安いよ」と驚かれることも珍しくありませんから。

菅野なるほど、おもてなしは世界に通用する日本の武器と言っても過言ではないですね。

矢野はい、何が世界に通用する日本の武器かといえば、絶対に「おもてなし」です。確かに、以前は"ものづくり大国"として、製品を輸出すれば売れていた時代もあったかもしれません。しかし、メイド・イン・ジャパンの神通力が落ちた今、日本には何があるのか。そう考えると、おもてなししか選択肢は残されていないのではないでしょうか。

菅野おもてなしは、海外進出を検討している日本の飲食店にとって、強力な武器になりますね。しかし、言葉や宗教、考え方が違う国の方々に教えるのは難しくないですか?

矢野当社では、2年近くかかりましたね。とはいっても、私たちが目指しているレベルから見れば、まだ7割あたりの段階ですが。だけど、絶対にできないことはありません。国籍が違っても、真摯に伝えれば、しっかりと理解をしてもらえます。

菅野矢野さんとしては、おもてなしの心を持った日本の飲食企業がもっとシンガポールに進出してほしいですか?

矢野100%、イエスです。日本では、シンガポールは物価が高くて、オーバーストアなので、進出する価値がないという意見もあります。しかし、シンガポールこそチャンスなのです。多くの飲食店にお客様が入っている状況で、おもてなしが実現できる日本の飲食店が来たら、確実に成功するでしょう。飲食店の数や日本人の数といったデータ分析も大切かもしれません。しかし、肌感覚で言うと、魅力的なコンテンツをもって来れば、うまくいくと断言できますね。

アプリラボの人財は、ワールドクラス!?

菅野そういえば、海外進出のとき、なぜK1くんを選んでもらえたのですか?

矢野iPhoneやiPadがハンディになる点が大きかったですね。現地だと、かつて日本の飲食店でも使っていたハンディを未だに販売しているPOSレジ会社も少なくありません。それを買ったとしても、一から覚えるのは大変です。東南アジアでもiPhoneやiPadの普及率は高いので、日ごろ使い慣れたデバイスをハンディとして使えるのは大きな武器になると感じて、K1くんに決めました。

菅野ありがとうございます。日本語が読めないスタッフでも、スムーズにK1くんを使いこなせていますか?

矢野ええ、すぐに使いこなせていますよ。日常的にiPhoneを使っている子だと、出勤初日とかでも使えるようになるケースも珍しくないですね。一週間もすれば、ほとんどのスタッフがお客様のオーダースピードで操作ができるようになっています。

菅野実を言うと、日本国内でも海外の方が働くケースが増えていて、そういう方々でも使いこなせるように少しずつ改良をしています。今回、その成果が生きていて、うれしいです。

矢野やはり、そうした企業努力をされているんですね。K1くんは、操作がシンプルでカンタンだからこそ、語学が堪能ではない日本人のマネージャーでも、現地の人にストレスなく教えることができます。その分、料理やサービス、接客といった飲食のコアを占める教育に時間を割けるため、経営に与える影響も大きいですね。それに何か問題があっても、日本と変わらない速さで対応してくれるので驚いています。このスピード感は、アプリラボさんの最大の特徴なのではないでしょうか。

菅野そう言っていただけるととても励みになります。ですが、日本でも24時間のサポート体制を敷いているので、海外からの依頼でも時差に関係なく対応できるんですよ。しかも遠隔でサポートできるので、実は当社もそこまでの負担ではなかったりしますね。

K1くんのポテンシャルは、国境を超える

菅野型無様というと、活気あふれる朝礼を行っている企業としても知られています。海外でも行っているそうですが、進出前から実施すると決めていたんですか?

矢野ええ、決めていました。国内とは少し形を変えて現地に合わせていますが、朝礼は理念教育の一環ですから。朝礼で声を出すことを通して、自分の意見が言えたり、営業中に自主的に動けたり、会議でしっかりと発言したりできるようになって、スタッフたちのやりたいことができるようになってもらいたいです。それが居酒屋として、元気な店を作ることにもつながるでしょう。

菅野2012年に海外へ進出してから5年が経ちました。海外を経験したからこそ分かる、日本のマーケットの特徴などがあれば教えてください。

矢野日本は少子化が進行しているので、今後、さらに採用に苦労するはずです。それと同時に、不足した労働力を補うため、海外の若い働き手をもっと活用していかなければならないでしょう。しかし、日本人は海外の人と働くのに慣れていません。今の段階から国際化を推し進めないと、サービス業は瓦解する可能性があるのではないでしょうか。また、少し話は逸れますが、海外展開をすると商売として外貨を稼ぐことになります。日本は天災大国なので、いつ何が起こっても不思議ではありません。だからこそ、外貨をもっていれば、国内の社員を守ることにもなると感じています。

菅野なるほど、海外展開は、リスクヘッジの役割も果たすのですね。今後も、矢野さんは他のアジアでの展開も考えているのですか?

矢野はい、シンガポールで10店舗とかではなくて、ASEAN諸国で2~3店舗という展開を検討しています。来年も一店舗、新しい国へ進出する予定です。雇用の創出はもちろん、飲食の喜びや飲食でご飯が食べられるという醍醐味を、ASEAN諸国に伝えたいと考えています。

菅野ビジョンを聞いていると、とてもワクワクしてきます。私たちも、今後も型無様の海外展開に貢献してけるように取り組んでいくつもりです。現在、国ごとに異なる料金プランを作る必要などに迫られています。同一プランだと、物価が安い国ではありえない設定になってしまいますから。そうした点も、指摘を受けなければ気がつけないことが多くあります。それくらい各国の法律や制度、ルールを学ぶことは難しいですね。K1くんについて、ローカルの人がどう感じているのか。そうした生の声に耳を傾けながら、毎月のバージョンアップを通して、さらに魅力的なシステムにしていきたいです。

矢野頼もしい言葉です。今や、当社の戦略はK1くんなしでは実現できません。K1くんのおかげで、店内の導線がスムーズになって、オペレーションも組み立てやすくなります。その結果、10人体制の店を5人体制にできたり、社員の給与を上げたりできるので、本当に心強いです。これからも頼りにしていますよ、菅野さん。